No.09 地域 辻町
店名 まよい焼き でんちゃん

アツアツの“まよい焼き”と共に歩む
波乱万丈の肝っ玉母ちゃんストーリー

柳川市の3大発明品と言えば、何が思い浮かびますか?
他の二つは知りませんが、これだけは言えます。「まよい焼き」です。
一見して回転焼き、大判焼きとも呼ばれるフォルムですが、その中身は目玉焼き、ハンバーグ、キムチにチリポテトなど、まさかのおかず系!食べ盛りの子どもたちを中心に絶大な支持を得て、佐賀市と柳川市が取り合いになったと言う逸話も。
焼きたてを渡されたら、その場でかぶりつかずにはいられない、それがこの「まよい焼き」です。覚悟はいいですか、お腹をすかせて来ましたね!
それでは、いざ入店!あらあら、ものすごく明るい女将さんの笑い声が聞こえてきましたよ。

取材/絶メシ調査隊 ライター/大内理加

夫婦二人三脚で駆け抜けた
“まよい焼き”ロード

店頭にはアツアツの鉄板、その前に立つのが「まよい焼き でんちゃん」の女将、髙﨑貴美代さんです。次々に訪れるお客さんとおしゃべりをしながら、40個の金型に次々と生地を充填し、焼き加減を確認しています。メニューを見ると、定番の黒あん・白あんに加えて、約15種類もの具材が掲載されています。

ライター大内

こんにちは!焼きたてのいい香りですね。さっそくですが、この「まよい焼き」って、メニューが多いから迷うって意味なんですか?

貴美代さん

そうよ。名前は家族会議で決めたと。お客さんが迷うけん「まよい焼き」にしたらって、子どもが付けてくれてね。

ライター大内

一度聞いたら忘れないですよね。まよい焼きはいつから開店されてるんですか?

貴美代さん

始めたのが1988年やね。その時は、細工町におって、この先のコンビニの所に引っ越して、そこからこの場所に移転したとよ。よ〜転々としとるね。アッハッハ。
まよい焼きの前は、電器屋さんしよったとよ。

ライター大内

え〜!全然違う業態からの転身ですね!

貴美代さん

もともと主人が脱サラして電器店始めたっちゃけど、以前ほど売り上げが伸びなくなってきてね。何かできることはないやろかって考えて。

ライター大内

なるほど。思い切ったアイデアですね。

貴美代さん

回転焼きなんて、それまでは全然作ったこともなかったけんね。知り合いに少し教えてもらって、あとは仕事と家事を終わらせて夜中に練習しよったとよ。それで電器店の片隅を借りて始めてね。その後は電器店を辞めて「まよい焼き」のお店にしたとよ。

ライター大内

お店を乗っ取っちゃったんですね!

貴美代さん

アハハハ、そうそう。

ライター大内

明るいな〜。

貴美代さん

前はね、佐賀にもあったとよ。

ライター大内

え! まよい焼き2店舗もあったんですか!

貴美代さん

佐賀市の女子校の前に二号店を出したら超ブレイクしてね。
行列ができよったとよ。そっちはお父さんにまかせてね。お父さんは女生徒に懐かれよったけん、「おっちゃん、おっちゃん」ってね。今でも、こっちのお店に卒業生が来てくれるよ。

お店の壁にかかっている大きな絵は、佐賀北高の芸術コースの生徒さんが描いたファンアート。どれだけ慕われているかがわかります

お母さんにお話を伺っていると、奥からご主人の二三(ふたみ)さんが登場。お話をお聞きしました。

ライター大内

お母さんから聞きましたけど、佐賀でお店をされていた頃は、学生さんにモテモテだったとか?

二三さん

恋バナを聞いてやりよったったい。女子校やけんね、周りに男はおらんかったけん。

ライター大内

女将さんはヤキモチ妬かれなかったんですか?

貴美代さん

アハハ!ぜ〜んぜん。そういう人間じゃないもん。

ライター大内

お父さん、信頼されてますね〜。ちなみにお二人の馴れ初めは?

二三さん

彼女がね、「結婚してくれんと死ぬ」ち言うたけんね。

貴美代さん

出た出た(笑)

二三さん

先に言うた方が勝ちやんね。

ライター大内

仲良いですね。お休みの日もお二人ご一緒なんですか?

二三さん

休みの日はどっか行ってさ、帰りに温泉に入れてやらんと。足が痛くて仕事ばせんち言われたらいかんけん。

ライター大内

素直じゃないんだから。「まよい焼き」よりアツアツじゃないですか(笑)

妖精のように奥から現れ、いつの間にか奥に戻って行かれたお父さん。お母さんの話を聞きながら、終始嬉しそうに昔のことを教えてくれました。

ご飯がわりにも、お酒のアテにも
家族で楽しめる柳川おやつ

まよい焼きは1個を2回に分けて焼くのですが、おしゃべりをしながらも貴美代さんの手はリズミカルに動きます。こんな風に焼き上がりを待つ時間もお客さんにとっては楽しみの一つ。それにしても、これだけのメニューを作るなんて、どこからアイデアが湧いてくるのでしょうか。

ライター大内

開店焼きならあんことかクリームとか、甘いものが多いイメージなのですが、まよい焼きはおかず系がほとんどですね。小腹にちょうどいい感じ。この具の多さも人気の秘密なんでしょうね。

貴美代さん

人がせんことをせないかんけんね。うふふ。

ライター大内

メニューはどうやって決めているんですか?

貴美代さん

お店を出した当時、柳川高校の生徒さんがほとんど毎日来てくれよったとよ。それで思いついた具材を試食してもらって、パスしたメニューが採用されると。

ライター大内

なるほど。学生さんの舌にかなったものだけがメニュー化されるシステム!
でも、味がこれだけあるとどれを食べるか迷いますね。あ、食べる時も間違えないように、具材の名前が皮にが焼き付けてあるんですね。

貴美代さん

そうそう。発明やろ。
ほい、焼けたよ。どれを食べたい?

ライター大内

わ〜!じゃあ、「たまご」で!ベーコンエッグが入ってる。これは食べごたえある〜。マヨネーズが入っているのも嬉しい。

「たまご」焼きたては表面がカリカリ、中はふっくら!生地はかなり甘さ控えめなので、どんな具材にもマッチしています

貴美代さん

ハイ!もう一つ!

トマトとチーズの「トマチ」と、チリパウダーを振りかけたポテトフライにベーコンを合わせた「チリポテト」。
※「トマチ」は材料がなくなり次第販売終了だそうです

ライター大内

チリポテトは後からチリペッパーの辛味が追いかけてきます。これはビールにも合いそう!

貴美代さん

そうやろ。お客さんの中にはおつまみにするていう人もおるよ。

ハンバーグやウインナーなど、ガッツリ系の具材が多いのも学生さん御用達ならでは。もちろん、黒あんやカスタード、チョコなどスイーツ系もあり、別バラもしっかり対応してくれるのもニクいですね。
焼きたての食感もあいまって、結構ペロリといけちゃいます。最高記録は、女子中学生の16個ですって!若いってすごい!

ライター大内

焼き立ては本当に香ばしいですね。何かコツがあるんですか?

貴美代さん

日によって、微妙に粉の量を変えてるんよ。毎回しっかり測って作るわけじゃなくて、天気や気温に合わせて調整してる。
あとはね、内緒。アハハハ

ライター大内

それにしてもお母さん、すごく楽しそうですね。お仕事してて嬉しい瞬間ってどんな時ですか?

貴美代さん

もうね、30年もやってるから、学生さんが大きくなって子どもを連れてきてくれるとよ。それが一番嬉しいね。

ライター大内

親子2代で通ってくれる。嬉しいですね。

「あと50年は続けて!」
お客さんの声に支えられて

ライター大内

お値段も1個150円って、お手頃ですよね。

貴美代さん

子どものお小遣いで買えるようにと思ったけんね。最初はこの半額くらいやったとよ。その頃はとにかく利益を考えてなくてね。

ライター大内

お店を出す前から夜中に練習されて、オープンした後もずっと立ちっぱなしで働いていらっしゃいますよね。しんどいな〜とか、辞めたいと思ったことはなかったんですか?

貴美代さん

辞めたいとは思わんかったよ。もともと電器屋さんて、その時代の最先端の機器を売りよるわけやん。それを辞めたってことで多少肩身が狭い思いをしたこともある。
だからこそ、この場所で立ち直らないかんとよ。それに周りの皆さんにお世話になったけん、地元に貢献できるお店になろうと。
本当は、佐賀の方が売れよったけどね、

ライター大内

感謝の気持ちと、お母さんの意地もあるんですね。

貴美代さん

そう。やけん、今まで頑張ってこれたと。

ライター大内

お客さんにしても、ずっと続けて欲しいと思っているのではないでしょうか?

貴美代さん

そうやねー。最近よく言われるとはね、「おばちゃん辞めんでね。あと50年は続けて〜」って。そしたら私、何歳になるよって。アハハ

ライター大内

みんなの思い出の味ですもんね。ご家族はどう思っていらっしゃるんですか?

貴美代さん

子どもは継ごうか?って言ってくれるけど、専業やったら食べていけるかわからんけん、跡を継いでとは言いきらんとよ。それでも、いろいろと協力してくれるけんね。それで今があるけん。

ライター大内

まよい焼きの名前の由来もですけど、ご家族と支え合っていらっしゃるのも素晴らしいなと思います。

貴美代さん

最初はこんな風に商売するなんて、思ってもみなかった。もともとは、お隣さんに挨拶するのもやっとできるかどうか。そのくらい人見知りやったとよ。

ライター大内

え!想像できない!

貴美代さん

お店に来てくれる子どもさんやお客さんとのおしゃべりは本当に楽しいっちゃんね。それもこの商売を始めたけん分かったこと。あのままサラリーマンの嫁しよったら、閉じこもっとったかもしれん。主人にも本当に感謝してる。

ライター大内

素敵なお話ですね。

貴美代さん

今はね、休日の方がかえって疲れるとよ。お客さんから元気を貰っとるんやね。

ライター大内

それじゃ、まだまだ辞められないですね!なんだか安心しました。

まよい焼きの皮には、具材の名前が焼き付けられている。お客さんが間違わないように、ちょっとした優しさが嬉しい。ちなみにこの焼き付けの方法は、「秘密」だそうです。

お店では、いつもチャキチャキな女将さん。家族と共に作り続けてきた「まよい焼き」は、お客さんとの思い出をつないでくれる大事な存在でもあるんですね。
15種のメニューで迷ってしまった時は、
「迷うなら 全部食べよう まよい焼き」
とばかりに、気の合う仲間や家族と全部制覇してみては?

No.09 No.09
地域: 辻町
店名: まよい焼き でんちゃん
ジャンル: 軽食
お問合わせ:
0944-73-0408
営業時間:
10:30〜19:00
※売り切れ次第終了、夕方以降は予約がベター
定休日:
火曜
住所: 福岡県柳川市辻町17-1
アクセス方法: 西鉄柳川駅より徒歩10分

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